Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



「…暗闇の中で、また誰かに抱きすくめられて、身動き取れなくなるのは、困るもんね。」


 みのりが文化祭での出来事を暗示してそう言った瞬間、形勢は逆転した。

 遼太郎の顔が、焦りでみるみる赤くなる。


「あっ、あの時は…、わざとじゃなかったんです…!」

「抱きすくめるのも、わざとじゃなかったの?じゃ、他の女の子が来ても同じことをしてたんだ。」


 ちょっと意地悪そうな目で、みのりは遼太郎の顔色をチラリと確認する。


「いや!あれは、先生だったから。他の人だったらしてません。…先生、やっぱり、あの時のこと気にしてたんですね?」


 遼太郎が躍起になって弁明するものだから、みのりは可笑しくなって声を立てて笑い出した。


「別に、相手が遼ちゃんだったから、胸を触られたりしたのは気にしていないわ。」


「……!」


 ゆでダコのようになって、遼太郎は言葉を呑み込んだ。あの時の柔らかい感触が、遼太郎の右手に甦ってくる。


「ただ、気になるのは、私と分かっててしたってことの方よね。…まさか、あの頃から私のことを想ってくれてたのかな…って。」


 激しい鼓動で乱れている遼太郎の胸に、みのりの言葉が染み透る。
 みのりが自分の気持ちを受け止めてくれていることが、遼太郎はとても嬉しかった。


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