Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「遼太郎、お前が隣に来ると、俺はまるで引き立て役だな。ゴリくないマッチョ!ホント、理想的だよ。」
「…なに言ってんだ。」
そうやって持ち上げられても、遼太郎は一笑に付して相手にしない。
「おい。お前を見る女子のあの視線に気づいてないのかよ?特に陽菜ちゃん。マジで目がハートになってたぜ?」
「………。」
女子たちからどんな目で見られようが、それは別に気にするところではないが、陽菜のことを持ち出されたら、歯切れの悪いモヤモヤとした気分が立ち込めてくる。
何も答えない遼太郎に対して、佐山は更に言葉を続けた。
「陽菜ちゃん。完全にお前のことが好きだと思うけど?付き合ったりしないのかよ?」
陽菜は、佐山や樫原の前でも、遼太郎への気持ちを隠すことなく振る舞っていたので、佐山も一緒にいればおのずと分かってしまうのだろう。
遼太郎は深く息を吐いて、ようやく口を開いた。
「好きでもない相手と付き合って、あんな悲惨なことになるのは、もうこりごりだ。」
1年生の時、彩恵と付き合っている間は決して打ち明けなかった『好きではない』という心の内を、遼太郎は初めて明らかにした。