Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



 そんなふうに思考が展開したとき、遼太郎は内心ハッとした。
 これまでに幾度となく陽菜に対して心がざわめいたり、落ち着かなかったのは、これが原因だったのだと、ようやく遼太郎は自覚した。


 自分の中を、何とも言えない奇妙で独特な感覚が落ちていくのを感じながら、遼太郎はごくごくと飲み物を飲み干し、佐山に答える。


「…そう思うんなら、佐山が長谷川と付き合えばいいじゃないか。お前は俺と違って、女の子を口説くのなんて、お手の物だろ?」


「…ばっ、バカ野郎!なんでお前に夢中な女の子を、俺が口説かなきゃいけないんだよ?!」


 佐山は途端に顔が真っ赤になり、躍起になった。


「…狩野さん!!」


 その時、そこへ当の陽菜が遼太郎を呼びながら、駆け寄って来る。
 さすがの佐山も焦って肝を冷やし、ぎこちなく飲み物を口にして平静を装った。


「あっちでビーチバレーしてるんです。一緒にやりましょう!」


と、遼太郎の腕を引っぱり、明るく誘いをかけてくる。
 このまぶしいほどの笑顔とビキニ姿の陽菜には、何も怖いものはないようだ。


 陽菜の誘いだと、もちろん気は進まなかったが、楽しい雰囲気をぶち壊したくはない。
 遼太郎は心の中でため息をついて、「ビーチバレーは嫌いじゃないし」と、自分で自分をなだめながら立ち上がった。



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