Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
この日の夜は、合宿最後の夜ということで、勉強はしばし忘れて懇親会が開かれる。
予算を抑えての旅行なので、有名旅館のような豪華な料理は出てこないが、お酒が入ると皆はいっそう打ち解けて、楽しい雰囲気の会となった。
陽菜はこの時も何気なく遼太郎の側にいて、相変わらず無敵な笑顔を振りまいていた。3泊4日、ずっと一緒にいられるこの合宿で、一気に遼太郎との距離を縮めて、もっと親しくなろうという策略のようだ。
これを見て、心穏やかでないのは、樫原だった。教授と遼太郎、そして陽菜が、真面目にだけど楽しそうに話をしている。その輪の中に入って行きたいとは思うけれど、端で見ている者がそこに割って入っていくには、いささか勇気を要した。
「おーい!それじゃ、花火するよ~。」
レクレーション担当のゼミ生の一人が声をかけると、皆ぞろぞろと民宿の中庭へと向かった。
小さな民宿なのでゼミ生以外は泊まっておらず、宿の了解さえ取れれば、多少は気兼ねなく騒ぐこともできる。
ただの手持ちの花火しかないが、友達同士でやればそれなりに楽しい。
陽菜は無邪気に花火に興じ、遼太郎はゼミ生たちが楽しそうにしているのを、中庭の片隅から眺めていた。