Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「狩野くんは一人になりたいんだよ。どうしてそんなにまとわり付くの?」
という樫原の忠告を無視し、陽菜は樫原の横をすり抜けて、遼太郎を追っていこうとする。
「はっきり言って、狩野くんが迷惑してるよ。しつこい女は嫌われるんだよ?」
自分の背中に投げかけられた言葉を、陽菜は聞き捨てられなかったらしい。立ち止まると、忌々しさをにじませた顔をして振り向いた。
「……狩野さんが迷惑だって言ってたんですか?」
遼太郎に話しかける時とはまるで違う、低い声で樫原を威圧した。
「狩野くんが言ってたわけじゃないけど。」
その陽菜の豹変ぶりに内心驚きながら、樫原は受けて立つ覚悟を決める。
「私は狩野さんの役に立ちたくて、頑張ってるだけです。役に立つには、側にいなきゃできませんよね?」
「役に立ちたい…っていうより、狩野くんのことが好きだから、つきまとってるだけでしょ?」
樫原はそう言って、核心を突いたつもりだったが、陽菜は逆に開き直った。
「そうです。私は狩野さんのことが好きです。一緒にいればいるほど、もっと狩野さんのことが好きになりました。だから、しつこいと思われても何でも、私は頑張るしかないんです。だからいつかは、きっと狩野さんも振り向いてくれるって信じています。」