Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
そんなふうに思うと、今すぐに本物のみのりに会いに行って、確かめたくなる。この手に抱きしめて、触れて、声を聞いて、記憶の中で反芻しているみのりが、本物と違わないことを。
でも、みのりがどこにいるかも分からないのに、会いに行けるはずもない。思考は堂々巡りを始め、葛藤はますます深く絡みついてくる。
結局、遼太郎は二俣と一緒に部活に1回ほど顔を出しただけで、早々に帰省を切り上げて東京へと戻ってしまった。
九月になると、間もなく単位認定のための試験が行われる。試験などはあまり意識せずにバンド活動に勤しむ佐山とは裏腹に、普段から真面目な遼太郎は、ここぞとばかりにいっそう勉強に勤しんだ。
遼太郎が教員資格のために取っている講義以外は、ほぼ同じ講義を履修している樫原は、いつも試験の時は遼太郎と一緒に対策を練っていたのだが…。
今年はその中に、陽菜がいた。学年が違っても同じ講義を取ることもあるし、昨年遼太郎たちが単位を取った講義に関しては、その試験の対策などを聞き出しているようだ。
合宿の一件以来、樫原と陽菜の間には大きなわだかまりがあった。お互い牽制し合っている気まずい空気なのに、一緒にいる遼太郎は勉強に没頭していてそれに気づくことはない。