Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「……僕、好きなんだ……。」
その一言を聞いて、遼太郎の表情が固まり、目には疑問の色が浮かぶ。
「長谷川のことが…?」
首をひねりながら遼太郎が訊き返すと、樫原の顔は切なさを帯びて、泣きそうになる。
「…違うよ。僕は狩野くんのことが……。出会った時からずっと……。」
一瞬、遼太郎の息が止まる。
樫原が発した言葉の意味を考えながら、樫原の今にも泣き出しそうな顔を見つめた。
その樫原の言っている『好き』は、親友に対する信頼や愛着を示すものではない。樫原から〝そういう目〟で見られていることは、うすうす勘付いていた。
だからこそ、思いがけない告白を聞いたはずなのに、驚きさえも感じない。自分が比較的冷静なことに、遼太郎自身不思議な感覚を覚えていた。
樫原から目を逸らしてはいけない――。
そう思ったのは、大切な親友に対する遼太郎の精一杯の誠意だった。
遼太郎は樫原を見つめたまま、そこにあった椅子を引いて、樫原の隣で向かい合うように座った。
でも、樫原から打ち明けられたことに対して、どんなふうに自分の気持ちを伝えたらいいのか、遼太郎には分からなかった。
すると、黙り込んでしまった遼太郎を見て、樫原の方が口を開く。