Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



 遼太郎の目が苦しさと切なさを帯びると、ドキドキと佐山の心臓が高鳴り始めた。


「俺がここにいるのも、その人がいてくれたからだ。その人がいてくれるから、俺は生きていけるんだ。……俺が死ぬまで、何があってもこの想いは変わることはない。その人は、俺の全てなんだよ。」


 遼太郎の言葉を聞きながら、思わず佐山の皮膚に鳥肌が立つ。身体に震えが走って、雷に打ち付けられたような衝撃が駆け巡った。


 〝女には興味がない〟そう思っていた遼太郎が、こんなふうに女性を語るなんて。
 その心の中に、ずっとそんな人が棲んでいて、そんな想いが詰まっていたなんて……。


 ただ一人の人を、こんなにも深く心の底から想える……。
 これこそ、佐山が追い求めて止まないものだった。佐山が偉そうに講釈を述べるまでもなく、遼太郎はもうすでに何が本物なのかを知っていたのだ。


「……だったら、どうして彩恵ちゃんと付き合ったりした?……その人とはどうなってるんだ?」


 その佐山の当然の疑問に、遼太郎の表情がいっそう苦しそうに曇った。


「……事情があるんだ。……今は、会えないんだよ。」


 「どうして?」と、佐山はすぐに問い直したかったが、遼太郎の悲痛な顔を見たら何も言えなくなった。


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