Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



 こんなふうに生徒に慰められるなんて、何をやってるんだろうと思う。それでも、こんな愛の優しさが、本当にありがたかった。今は誰かにすがって、この苦しさから救い出してもらいたかった。


「……もう、自分がその人のこと好きなのかどうか、分からなくなっちゃった。思い出すだけで、こんなにも苦しくて苦しくて……。」


 言葉を絞り出しながら、みのりの瞳から大粒の涙がポタポタと零れ落ちた。そんなみのりを、愛はただじっと見つめ続ける。

 愛は自分の中にあるものを言葉にできるように考えてから、みのりの涙が落ち着いたころを見計らって口を開いた。


「苦しくて辛いのは、その人のことが好きだからだよ?好きでも何でもなかったなら、何も感じないはずだもん。苦しければ苦しいほど、その人のことが好きで好きでたまらないってことだよ。それほど好きな人なんだから、苦しいからって好きでいることを止めちゃうと、きっとみのりちゃんがみのりちゃんでなくなっちゃうよ。」


 みのりはその言葉にハッとして、涙で潤む目で愛の顔を見つめ返した。


「我慢しないで会いに行ったらいいじゃん。自分が間違ってたと思うのなら、謝ればいいじゃん。好きな人の側にいたいって思うのは、自然なことだよ。不自然なことしてるから、苦しいんだよ。」


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