Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
苦しさに凝り固まっていたみのりの心を、愛の言葉が優しく解かし出してくれる。恋愛に対して、とても素直な心で向き合っているからこそ、言葉にできた〝真理〟だとみのりは思った。
「だから、一歩。勇気を出して踏み出そう?そこからどんな道になってるのか分かんないけど、今の苦しいままでいるよりいいじゃない?」
みのりは何も思いを口にできなかったが、愛の言葉を胸の奥にしまい込んで、それに応えるように涙を拭ってほのかに笑みを浮かべた。
愛は、そのみのりの笑顔を見て、自分もニッコリと表情を笑みで満たす。
「それじゃ、みのりちゃん!一緒に勇気だそう!!一緒に頑張ろ!!ね?」
まさに体育会系のノリで、愛はみのりの両手を取った。みのりはそれにつられて、思わず微かにうなずいた。すると、愛はもっと嬉しそうに、その笑顔を輝かせる。
「みのりちゃんが一緒なら、私も心強いな!さあ、私は部活に行かなきゃ!」
廊下を軽快に走って遠ざかっていく愛を、見えなくなるまで見送って、みのりは職員室へと戻った。
研究会の書類をもう一度出して、食い入るように見つめ、考える……。
そして、パソコンを開くと、研究会当日に帰る予定にしていた航空券の予約を、次の日に変更した。