Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



 みのりが息を吐いて顔を上げ、お礼を言う前に、空から大粒の雨がバラバラというような音を立てて、一気に落ちてきた。

 
「わっ!!降ってきた!」


 遼太郎は背を丸めて、みのりの上に覆いかぶさるように、その傘になろうとした。しかし、それでは到底防ぎきれないほどの雨量で、このままではずぶ濡れになってしまう。


「あ!あそこ、休憩所がある。」


みのりが指をさして、遼太郎の腕を引いた。

 降り出した雨の匂いが立ち込め、視界もけぶるほどの激しい雨の中、遼太郎の方が先に立って、みのりの手を引いて走った。
 休憩所に着いた時には、遼太郎も息があがっていたくらいなので、みのりは呼吸もままならないほど、大きく肩を上下に揺らしている。


「あぁ…。遼ちゃんって、やっぱり足が速いのね。…付いて行けずに、足がもつれるかと思ったわ。」


 みのりがそう言って笑うと、遼太郎は少し苦く笑い返した。遼太郎はみのりに合わせて、全力疾走の半分くらいの速さで走ったつもりだった。


 息が整うのも待たずに、みのりがバッグからタオルハンカチを取り出し、腕を伸ばして、雨粒が伝う遼太郎の額や頬を拭き取る。遼太郎の体がピクリと硬くなり、驚いたような少し戸惑うような目で、遼太郎はみのりを見下ろした。


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