Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「俺、濡れるのは慣れてるし、何ともありませんから、先生の方から拭いてください。」
遼太郎はうろたえ気味に身を引きながら、みのりの行為をやんわりと拒んだ。
「私はこのコート着てたし、遼ちゃんが前を走ってくれたからあんまり濡れてないの。…遼ちゃん、風邪引かせちゃいけないし…。」
そう言うみのりの前髪からも水滴が零れ落ち、それが額から頬へと伝っている。実際、みのりの持っている小さなタオルハンカチくらいでどうにもならないくらい、遼太郎もみのりも濡れそぼっていた。
非難した休憩所は、自動販売機が1台とプラスチック製のテーブルとイスがあるだけの粗末なもので、気を付けていないと見落としてしまいそうな場所だった。照明も器具はあるが、節電のためか蛍光灯は取り外されていて、室内は雨のせいもあって薄暗い。
二人きりの休憩所を激しい雨音が包み込んで、本当にここがにぎやかな遊園地の中かと疑ってしまうような感覚になる。
遼太郎が羽織っていたボタンダウンのシャツの肩を、みのりがタオルハンカチで押さえていると、みのりの手を遼太郎の大きな手が覆った。
「…もう、滲みこんでしまってて、拭いても意味ないですよ。そのうち、渇きます。」