Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
いささかの緊張と大きな胸の高鳴りを抱え、みのりは居住まいを整えると、人差し指を差し出して玄関のドアのチャイムを押した。
「…………?」
しかし、玄関のドアが開くどころか、中からは何の反応もない。もう一度チャイムを押してみても、遼太郎の部屋はひっそりとして何の気配も窺えなかった。
――……遼ちゃん、もしかしてこの週末は家にいないんじゃ……?!
東京に来さえすれば遼太郎に会えると思い込んでいたみのりは、ようやく冷静になって考え直した。
遼太郎がコーチをしているラグビースクールは、週末に泊りがけでよく遠征に行くと言っていた。それとも、ゼミでの研究や就職活動などで、遠方に行っているのかもしれない。
みのりは急いでバッグの中から携帯電話を取り出し、その画面に遼太郎の番号を表示させたが、発信ボタンを押す前に思い止まった。
――遼ちゃんが、自分のことに頑張ってるときに、余計な気苦労かけたくない……。
遼太郎に連絡もせず、衝動的に突飛な行動をとってしまったことを、みのりは今更ながらに悔いた。遼太郎の事情も考えず、自分の気持ちを優先させるなんて、なんて愚かな女なのだろう。
遼太郎に会えないことが寂しくて悲しいのと、それ以上に自分に対して情けなくなって、みのりの目からジワリと涙が滲んでくる。