Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜



 体の中に残る遼太郎の息吹を確かめるだけでは、恋しさは満たされなくて、会いたくてたまらなくなってくる。
 せめて、その声を聞きたいと思っていたけれど、みのりは遼太郎に電話はしなかった。陽菜とのその後のことも気になっていたのに、電話どころかメールの一通も打つ勇気がなかった。

 少しでも接触を持てば、堰が切れたみたいに、会いたい気持ちが抑えられなくなる。それを、みのりは自覚していた。
 遼太郎の方から何も連絡がないのは、きっと遼太郎も同じなんだと思う。それとも、みのりの意図を汲んで、連絡してくれるのをひたすら待っているのかもしれない。




 けれども、十月に入って十日が過ぎる頃、みのりはとうとう我慢ができなくなった。このまま遼太郎に会わないでい続けると、本当におかしくなって、日常生活もままならなくなってしまうそうだった。
 折しも、ちょうど前期が終わり、週末を挟んで短い秋休みがある。金曜日の勤務が終わると、みのりはもう居ても立っていられなくなり、後先も考えずに空港へ駆けつけると、気づいたときには飛行機に飛び乗っていた。


 東京に着いたときには、すっかり夜になっていたが、遼太郎のアパートへの道はもう迷うことはなかった。建ち並ぶ商店やレストランの照明、街灯が照らしてくれる夜道を歩いて遼太郎のアパートへたどり着いたのは、もう九時頃だった。


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