Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
そんな遼太郎の寝顔を見つめながら、みのりは自分の中に充満する切ない願望を必死でなだめた。
少し前までは、どんなに想いを募らせても触れるどころか会うことさえできなかった人なのだから、こうやってずっと側にいられて言葉を交わせるだけでも幸せなのだと。
こうやって、遼太郎が安らかに眠ってくれることが、なによりも大切なことなのだと。
――……あの時、遼ちゃんが怪我しなくて、本当によかった……。
その現実を噛みしめるだけで、みのりの心は安堵で満たされる。
もし、遼太郎が自分と同じ怪我を負っていたら、今の遼太郎のように平静ではいられず、きっと泣き暮らしていただろう。
――でももし……、陽菜ちゃんがまた遼ちゃんを襲ったら……?
これからだって、陽菜は遼太郎の側にいる。明日だって、遼太郎は大学で陽菜に会うかもしれない……。
そんな懸念がよぎった時、みのりの全身に震えが走った。ドキドキと心臓が不穏に鼓動が乱れ始め、〝抱きしめてもらいたい〟という願望さえも消えていく。
みのりはベッドの中で小さくなって、胸を押さえた。次々と湧き出してくる不安を押し殺すのに必死で、なかなか眠れなかった。
『大学には行かないで。』
みのりの喉元までせり上がってくるその言葉。
翌朝、遼太郎と一緒に朝食を食べながら、みのりは何度もその言葉を呑み込んだ。