Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
この狭い部屋にずっと二人きりで、誰にも邪魔もされていないのに、遼太郎はキスどころか抱きしめてもくれない。
怪我をしたばかりのみのりを労って、『傷が癒えるまでは…』と、思ってくれてるのかもしれないけれど……。
「…………。」
みのりはどうしようもなく切なくなって、遼太郎に抱きしめてもらいたくなった。
そもそも、東京へやってきたのは、遼太郎にそうしてもらうためだった。キスも絶頂もいらない。ただ抱きしめてもらいたくて、心と体が疼いて震えてくる。
――遼ちゃん……?
みのりが堪え切れなくなって、まさにそんなふうに声を出して遼太郎を呼ぼうとしたとき、
「……先生。」
遼太郎の方から声をかけられた。
みのりから溢れでるような願いを、遼太郎が読み取ってくれたのか……。
みのりが胸を高鳴らせながら布団から顔を出し、薄暗い中で遼太郎を見つめると、遼太郎も寝返りを打ち、みのりへと視線を定めた。
「明日は、俺、大学に行きます。でも、先生はここでゆっくりしててください。退屈だと思いますけど、まだ安静にしててくださいね。」
遼太郎はそう言って優しく笑いかけてくれたが、そこから動きだす気配はなかった。
「……うん。」
みのりはしょうがなく、頷くしかない。遼太郎はそんなみのりの心を知ることなく、さらに目を細めるとそのまま目を閉じ、眠りに落ちていく。