Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
だけど、今のみのりは、もう遼太郎とは離れられなかった。何よりも、遼太郎を失っていたこの数年間の苦しさを思い返すと、この不安の方がはるかにマシだと思った。
「……遼ちゃん……。」
みのりは無意識のうちに遼太郎の名を呼ぶと、膝を抱えたまま頭をベッドへと預けた。
仕事のことも将来のことも、全部を頭の中から排除して、遼太郎のことだけ考える。それは以前と違って、苦しいばかりではなくなった。愛されている甘さが加わって、でもやっぱり痛いほどに切なくて……時が経つことさえ忘れてしまう。
みのりは遼太郎が帰ってくるまでの時間、ただ遼太郎を想うだけの温かい海の中を漂った。
「……え!夕食、先生が作ってくれたんですか?」
帰ってきた遼太郎は、既に出来上がっている料理を見て目を丸くした。
「だって、一人でいると暇で暇で。それに、ずっと遼ちゃんのお世話になったから、最後の夜くらい恩返ししなきゃ。」
と、みのりは少し恥ずかしそうに肩をすくめながら、ホイル焼きの仕上げに取り掛かる。
「先生!腕は?!動かしても、大丈夫なんですか?」
「うん、無理なことしなければ、大丈夫。少しは体を動かさないと。」
心配そうにする遼太郎に向かって、みのりは笑ってみせた。