Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
でも、遼太郎には分かってしまう。みのりのその笑顔が作られたもので、本当は心に負った傷はまだ癒えていないことを。
「先生。……俺、長谷川に会ってきました。」
遼太郎は、キッチンに立つみのりに、改めて報告する。みのりは、何気なくそれを聞いて、そしてその言葉の意味を理解すると、真顔になって遼太郎を見つめ直した。
「……どうして、陽菜ちゃんと?!」
「俺自身の安全のためと、先生に安心してもらうために、長谷川の気持ちを確かめてきました。長谷川は、もう二度と俺の前に姿を現さないと約束しました。」
「姿を現さないって……?陽菜ちゃん、大学を辞めるつもりなの?」
みのりは安心するよりも、ますます険しい表情になって、遼太郎に問いただした。
「海外留学するって言ってました。いつから行くのか知りませんけど、多分俺が大学にいる間は、戻ってこないんだと思います。」
「……そう。」
遼太郎の説明を聞いて、みのりはようやく安心したように表情を緩めた。それでも、みのりの心の奥には、未だ消えない影がある。きっとそれは、陽菜の名前が出る度に過るもので、多分生きている限り消えるものではないのだろう。
それならば、そこに目を向けないように、忘れていられるようにするのが、遼太郎の役目だった。