Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜
「エトちゃんも、1年生の時にはまだ小さいんですよ。」
遼太郎にそう言われて、みのりは心の乱れを押し隠しながら、石原から衛藤へと目を移した。
言われてみると、遼太郎だけではない。衛藤も二俣もまだあどけなさが残る少年だ。
それから、2年生の時の写真、3年生の時の写真へと、遼太郎の成長を追っていった。
3年生の写真の遼太郎はみのりも知っているはずなのに、この写真の時と比べると今の遼太郎は、ずいぶん精悍になったと思う。
前列に座る遼太郎の後方に立つ荘野に気がついて、再びみのりの胸に影が差した。
「…遼ちゃん…。荘野くんね、やっぱり学校辞めちゃった…。」
それを聞いた遼太郎も、消沈した面持ちになる。
「…佐藤から聞きました。」
「遼ちゃんにも助けてもらったのに、…結局荘野くんの力になってあげられなかった…。」
そう話す間にも、みのりの声が震えてくる。
「…先生は個別指導をしたりして、十分荘野の力になってくれたと思います。それに、今を乗り越えられても、2年3年と勉強はどんどん難しくなっていくし、いずれは行き詰まったと思うから、今の内に別の道を行った方が、荘野のためかもしれません。」
みのりが自分を責めないように、遼太郎は一生懸命になって言葉を尽くす。