ぼくのことだけ見てなよ
「おねだり、してごらん?」
「は…?」
「楓、して?って」
「なっ…!?」

なんでわたしがそんなこと言わなくちゃいけないのよ!!…って、これどっかで聞いたような…。

あ。松井だ。松井が言ってたんだ。〝楓、して?って言えばアイツすぐ、すんだろ〟って…。

ウソでしょ!?あれは、わたしを茶化して言ってたんじゃないのっ!?美島の性格を見抜いて本気のアドバイスだったの!?

「ほら、椿姫。言わないと、してあげないよ?」
「ッ、ヤダよ!言えるワケないでしょ!?」
「あ、そう。じゃあ、ずっとしてあげない」
「〜〜〜っ!!」

なんなの、なんなの、なんなのよー!!なんでこんなこと言わなきゃいけないのっ。わたしそんなキャラじゃないし!

でも美島は、ホントにする気がないみたいで、わたしからカラダを離すと目だけわたしに向けてきた。

わたしは、どうするべき?このまま、なにも言わずにいればいい?……美島がこう言ってる以上、きっとわたしが言わないとシてくれないと思う…。

でもだからって〝楓、して?〟なんて…言えないっ!!あーっ、もうっ!!

「ねぇ、美島」
「ねぇ、そろそろ。その美島ってやめない?」
「え…」
「もう付き合って1ヶ月でしょ。楓って呼んでみて?」
「………」

< 157 / 162 >

この作品をシェア

pagetop