ぼくのことだけ見てなよ
「えっ!?ちょっと、楓くん!大丈夫?」
「いててて……」

女子たちが一斉に美島を心配し始めた。心配するのは勝手だけど、そこ退けてよね。

「わたしの存在わかってながら、なにもしないとかホント、サイテー」

うしろから一言美島に向けて発した言葉なのに、なぜか彼女たちに睨まれた。

「サイテーなのはどっち?楓くんに暴力振るうなんて!楓くんに、もしものことがあったらどうすんのよ!」
「は?」

今のゲンコツで美島に、もしものことが起こるとしたら、わたしなんかの大会に出れるんじゃ…。

「ちょっと楓くんの席がとなりだからって、生意気!」
「はぁ?今、なんて?こっちだってね、好きでとなりの席じゃないっつーの。なんなら、席交換しましょうか。誰がコイツの、となりがいいか決めなよ」

そこまで言うと彼女らは、顔を見合わせ、顔を赤くさせた。

バッカみたい。こんな顔だけのオトコのどこがいいんだか。

わたしがため息を吐き〝やってらんない〟というような顔をすると、彼女たちは美島のほうを向いた。

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