あまりにも猟奇的な少女たち
水族館は生簀じゃない
「ねえ、あの鰹 美味しそうだね。」
都会のビルの水族館で 
礼子は 横の彼氏に
おどけてみせた

彼氏の形相が
見る見る鬼になっていくのを
水槽のガラスが映し出していた
「おめは、食べることしか 頭にないんかい?」

血の気が失せていくのがわかった
礼子は その夜 彼氏を部屋に呼び
手料理を振舞った

CR必殺仕事人 の携帯サイトから、ダウンロードした着信音をバックに
魚を下ろしはじめた。

グサ! ゴギ! ブズ!
そんな音源をバックに
彼氏の目の前で
ニヤリと目を細めながら
見事な出刃の手捌きを披露した

目釘を刺し
鯵をさばきにかかったころには
血だらけのその手と
妖しい笑みのとまらない礼子の顔に
恐怖を刻み込まれ
彼氏は その部屋をあとにした





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