桜の花びらの記憶
「あ、お前学校!もう遅刻じゃん」

「ほんとだ。いいよ、電車で痴漢にあいました。とか言うから」

「痴漢って、おれかよっ」

「あははは、そう!」


 
 その後の電車に乗り、私は学校に行った。

 お兄ちゃんは電車が行ってしまうまで見送ってくれた。



 次の日、お兄ちゃんが朝っぱらから家に来た。

「由梨、早くしたくしろよ」



 
 その日から毎朝お兄ちゃんと一緒に登校した。



 お兄ちゃんは私の高校の最寄り駅まで一緒に行ってくれて、自分の高校まで戻るというめんどくさいことをして、電車でつぶされそうになる私をかばってくれた。

「帰りが一緒にいてやれないのが心配だけどな」

 そのやさしさがうれしかった。
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