溺愛ドクターは恋情を止められない

それからオペ室の前で、ナースが来るまで一緒にいた。
とてもひとりで置いていけるような状態ではなかったから。

ただ母親のすすり泣きだけが静かな廊下に響き、痛々しかった。


「松浦さん、ありがとう」


それから十分ほどして、ナースの内藤さんがやって来た。


「恭平君のお母さんですね。ご説明します」


この時ほど、ナースになればよかったと後悔した時はなかった。


救急外来に戻ると、もう一台救急要請が入っていた。


「松浦さん、IDお願い」

「はい」


こういう時は重なるもの。
引継ぎの時間も結局取れず、走り回った。


それから二時間。
救急に高原先生が戻ってきた。


「お疲れ様です。あのっ……」


恭平君は?
気持ちがはやったけれど、こんなことを家族でもない私が聞くべきではないと、言葉を濁した。

でも、本当は気になって仕方ない。
< 122 / 414 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop