溺愛ドクターは恋情を止められない

こうした時に取り乱す家族の気持ちが、痛いほどわかる。
自分も母の死を目の前で見ているから。

だけど、私がうろたえるわけにはいかない。


「只今オペ室に運ばれました。ご案内しますのでお待ちください」


ナースに母親の到着を連絡したけれど、他の患者に手一杯で、余裕がない。


「松浦さん、とりあえずオペ室にご案内して。すぐに誰か説明に行くから」

「はい」


ナースの指示でオペ室に向かう途中、ポロポロと涙をこぼす母親は、目を真っ赤にして息を荒げる。


「きっと大丈夫です。優秀な先生が執刀しています」


くわしい状態や治療については、私達事務にはわからない。
だけど、高原先生なら助けてくれると信じたい。


「はい……」
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