溺愛ドクターは恋情を止められない

「ごめん。持つよ」


先生は私が持っていたお弁当を持ち、歩き始めた。


「いい天気でよかったですね」

「そうだな」


彼は空を見上げて、まぶしそうな顔をする。


「清春、ずっと入院だったから、こうして走り回る経験をしてないんだ」

「もしかして、先生も、ですか?」


こんなことを聞いていいのか、ためらいはあったけれど、思い切って口にした。


「そう。俺も長い間病院だった」


彼は少し悲しげな顔をした。
だから、清春君の気持ちがよくわかるのかもしれない。


木陰に荷物を置くと、早速清春君と遊び始めた。


「滑り台してくる―」


その滑り台はジャングルジムの一番上から滑る構造。

先生は、ぎこちない動作で昇っていく清春君を、少し心配そうに眺める。
まるで、本当のお父さんのように。
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