溺愛ドクターは恋情を止められない
「わかりました」
酔っている患者は、意識がはっきりしている。
だけど、こちらの言うことはちっとも聞いてくれない。
「今から頭の傷を縫合します。動かないでください」
先生は大きな声で患者に語りかけたけれど、返事すらない。
「そこのグローブはめて」
「はい」
一気に緊張が高まる。
押えるだけならできそうだけど、相手は酔っぱらい。
なにがあるかわからない。それに、出血がひどい。
どうしても緊張で呼吸が荒くなる。
「大丈夫。頭部は毛細血管が多いから出血もひどい。だけど傷は浅いから」
「はい」
「こことここを押さえて」
高原先生の言う通り患者の頭を押さえる。
麻酔がすぐに効いてきたおかげで、痛がる様子はないけれど、酔っていて治療されているという意識がないからか、時々動こうとする。