溺愛ドクターは恋情を止められない
「すぐに来てくれるそうです」
内線で放射線科に手配を済ませると、高原先生は腹部エコーを見ている。
「それから、ナースは誰かいない?」
「それが、今は誰も」
「そっか……」
救急車が重なることはよくある。
だけど今日は特にひどい。
「ごめん、頼みがある」
「はい」
患者の額から大量の出血。
ガーゼが真っ赤に染まるのを見て震える。
だけど、そんなことを言ってはいられない。
「どうやら、命にかかわるような状態ではない」
あっという間に全身状態を確認した高原先生は、やはり相当な腕の持ち主。
他の研修医の先生は、ここでかなりの時間を取る。
「額を縫合したいんだけど、動かれては困るんだ」
「……はい」
「押さえ、られるか?」
彼は私が血が苦手だと知っている。
それでも、ナースが戻ってくる気配もない。