溺愛ドクターは恋情を止められない

「清春にも教えてやったら、あいつも詳しくなって」


目を細める先生の横顔が、オレンジ色に染まっていた。


「唯一、辛い治療を忘れて、夢中になれる時間だったんだ」


もう一度、夕日に目をやる。もう少しで沈んでしまう。


「松浦に会ってから、どうしてだか、あの頃のことをよく思い出す」

「そう、なんですか?」

「あぁ。あの頃は辛い、苦しい、という感情しかなかったと思い込んでた。だけど、楽しかった時間もあったんだ。松浦と話していると、楽しい思い出の方が蘇る」


彼は私を見つめて、口元を緩めた。


「先生……」

「でもあの頃は、松浦みたいに、俺の命をつなぎとめたいと必死になってくれた人にすら、当り散らしていたんだ。反省してる」


それは仕方がないこと。
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