溺愛ドクターは恋情を止められない
幼い子が、外にも出られず、死の足音に怯え……。
話を聞くだけでも胸が苦しい。
きっと周りの人も、当たり散らさずにはいられない気持ちをわかっていたはず。
「でも、今、こうして生きていることに幸せを感じている」
「はい」
彼が生きていてくれたから、こうして出会うことができた。
それに……だからこそ彼は、命の重みを誰よりもわかっている。
「だから、助けてくれた先生には、頭が上がらない」
どうしてだろう。
そう言った彼の顔が、少し曇った気がした。
「先生は、その時の恩返しを十分にされていると思います」
必死に患者の命と向き合い、手を尽くす彼は、きちんとお礼を言えているような気がする。
「ありがとう。でも、松浦も貢献してるんだぞ」
私は先生達の手助けをしているだけ。