溺愛ドクターは恋情を止められない
胸の前で両手を合わせて、ひたすら無事を祈る。
すると、エレベーターから誰かが降りてきた。
首から聴診器を下げていたのは、高原先生。
「松浦?」
彼は私に気がつき、近づいてくる。
「ごめんなさい、あの……」
「心配、してくれたんだな」
コクンとうなずくと、彼も私と同じように壁に寄り掛かった。
「清春を、診ているようだった」
先生も、同じことを考えていたんだ。
私が小さくうなずくと、不意に肩を抱き寄せられ、腕の中に閉じ込められる。
「先生……」
慌てて離れようとしたけれど、彼は許してくれなかった。
私の不安に、気がついてくれている――。
少しだけ、少しだけこうしていても、いいかな……。
酒井先生への懺悔を胸に、それでも彼にしがみついてしまう。