溺愛ドクターは恋情を止められない

怖い。たまらなく、怖い。
清春君の辛い過去と笑顔を知ってしまった私は、一層感情が激しく揺れ動いてしまう。

すると……。


「先生!」


オペ室の方向からドアの開く音がして、お母さんの叫び声が響いた。


「助かりましたよ。正直、厳しかったのですが、最初の処置が適切でした。お子さん、良く頑張りましたね」

「あ、りがとうございます」


ワナワナと座り込んだ母親を、父親が慌てて支える。
そして私は、その様子を見て、涙を我慢できない。

続けてストレッチャーが出てきて、母親はすがりつき、子供の名を叫んでいる。


「麻酔が効いていますからね」


ナースになだめられてもやめられない気持ちが、痛いほどわかった。
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