溺愛ドクターは恋情を止められない
高原先生は私から離れ、オペの終わったばかりのドクターに近寄り、頭を下げる。
「ありがとうございました」
「いや、君の適切な処置がなかったら、危なかったよ。いい腕を持っているね」
私はその光景を見るとすぐに、その場を去った。
高原先生、ありがとう。
最後に執刀したのは脳外の先生だけど『最初の処置が適切でした』ということは、高原先生の懸命の治療が、あの子の命を救ったのだと思う。
やっぱり、ここでずっと働いていたい。
高原先生のことは諦めるしかないけれど、この仕事が好き。
血はまだ少し怖いけれど。
家に帰ると、メールが入っていることに気がついた。
それは高原先生からだった。
受信ボックスを開くと……。
【松浦、ありがとう】
たった一言だったけれど、うれしくてスマホを握りしめ、立ち尽くす。