溺愛ドクターは恋情を止められない
「はい。検査が終わり治療中ですから、お待ちいただけますか?」
「そんなに酷いケガじゃないでしょ? もう、帰りたいんですけど」
母親の様子に腹が立つ。
帰りたいって……あなたが傷つけたんじゃないの?
「もう少し、お待ちくだ……」
「お母さんですね? ちょっとお話があります。息子さんを担当した、高原です」
母親の態度に、困っていると、助け船が出された。
「松浦、ありがとう」
私を逃がしてくれた先生は、母親と話しはじめる。
「失礼な。私がやったと? あの子は階段から滑り落ちたと言いましたよね。それなのに!」
突然、母親が怒り始め、興奮した様子で高原先生に詰め寄っている。
「もう、いいです。連れて帰ります」
「いえ、入院になります。骨折は一カ所だけではありません」
レントゲンには少なくとも三か所の骨折が表示されていた。