溺愛ドクターは恋情を止められない
「ドケ!」
何度も何度も固い拳が、私の至る所を捉えたけれど、必死に歯を食いしばる。
力の弱い私が抵抗したところで、敵うわけがない。
それならこうするしか……。
「松浦!」
思いきり頭を殴られたところで、高原先生が追いついて、父親を引き離してくれた。
高原先生と小谷先生のふたり掛かりで、やっと床に押し付けられ動けなくなった父親は、それでも手足をばたつかせ、意味不明な言葉を叫んでいる。
助かった……。
「もう大丈夫だよ」
精一杯の笑顔で男の子に話しかけたつもりだった。でも……。
「血……」
男の子は、私の顔を見て、目を丸くしている。
「大丈夫。先生が手当てしてくれるから」
それでも男の子は、泣き出してしまった。
そこへ、警備員も駆けつけてきて、意味不明な言葉をわめく父親は引き渡された。