溺愛ドクターは恋情を止められない
「松浦!」
緊張の糸が切れて、ヘナヘナと座り込むと、高原先生が私を抱き寄せた。
「小谷、この子を頼んだ」
「了解」
高原先生は、私を抱き上げ、廊下に備え付けられていたストレッチャーに乗せてくれる。
「今すぐに診てやるからな」
彼の顔を見たいのに、だんだん視界がぼやけてきて、意識が遠のいていく。
「松浦?」
先生の息づかいと、私を呼ぶ声が聞こえたけれど、激しい頭痛のせいで、返事をすることができなくなった。
私はどれくらい眠っていたのだろう。
ズキズキと突き刺すような頭の痛みを感じながら、ゆっくり目を開けた。
ここ、どこ?
どうやら病室にいるらしい。
だけど、どうして?
まだ薄暗い部屋は、私の恐怖を誘った。
なにがあったのかまるで覚えていないのに、「怖い」という感情だけが残っている。