溺愛ドクターは恋情を止められない
「後悔しか頭に浮かばなかった。どうしてあの時、父親を殴り倒してでも止められなかったのかと。医師としての立場が、邪魔をした」
それは仕方がない。
あの父親がどれだけひどい男でも、医師として対峙していた彼が、患者の父親を殴るわけにはいかなかっただろう。
「大丈夫です。先生が、こうして助けてくれたから……」
彼は私から目をそらさない。
「いや、それだけじゃないんだ」
それだけじゃない、って?
だけどそれきり口をつぐんだ先生は、「眠るまでここにいるから」と優しい言葉をかけてくれる。
「大丈夫ですから、お仕事に戻ってください」
当直なら、他の患者も診なければならないし、時間があるときに寝ておかなければ、朝から外来もあるはず。