溺愛ドクターは恋情を止められない

首を傾げると彼は「やっぱり覚えてない」とクスクスと笑う。


「ごめんなさい。なんでしたでしょう……」


まったく、心当たりがない。


「あぁ、俺に飯を作るって約束したんだ。酔っぱらいの松浦がね」

「あっ!」


あの時……。
コンビニ弁当ばかりでは不健康だと、そんなことを言ったような……。


「覚えてるからな、俺」

「すみません」


柔らかい笑顔で笑う先生だけど……、そんなこと、できないよ。
酒井先生の存在を思い出して、胸が苦しくなり顔をしかめた。
すると。


「どうした? 体調、悪いのか?」

「……いえ。なんでもありません」


彼が私の肩をつかみ、顔を覗き込むから慌てた。


「お弁当いただきます」


どうしたら、いいの?
彼のことを忘れるどころか、ますます好きになってしまう。
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