溺愛ドクターは恋情を止められない

「図鑑、見てるんだ」


彼はテーブルに置いておいた星座の図鑑に手を伸ばした。


「はい。こぎつね座ってかわいい名前ですね。見てみたいです」


だけど、夏の大三角の間にあるのに、暗い星だからなかなか見つけられないのだとか。


「俺ん家、望遠鏡あるぞ。見に来いよ」

「本当ですか!」


と言ってから、慌てて口をつぐんだ。
酒井先生に、これ以上彼に近づくなと言われたのに。でも……。


「他にもいっぱい教えてやる。星オタクをなめるなよ」

「星オタクって……」


私はクスクス笑ってみせた。
せめて、今だけでも楽しい時間を過ごしたいから。


「コーヒー、飲みませんか?」


弁当を食べ終わってしまうと、そう提案した。
もう少しだけでいい。先生とふたりでいたい。
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