溺愛ドクターは恋情を止められない
「俺の心臓、小柴部長が治してくれた。部長は命の恩人なんだ」
彼は自分の胸に手を置いて、実に冷静に言葉を重ねる。
「部長は、やっと治って退院しても、学校になじめないでいた俺に、丁度同じ歳だった酒井を遊び友達として紹介してくれた」
驚いた。
そんな頃からの付き合いだったなんて。
「やがて小柴部長の志を継ぎたいと、この世界に入った時、部長は自分の後継者にすると、喜んでくれた。そして、同じようにドクターになっていた酒井に再会して……」
先生はそこで大きく息を吸い込んだ。
「娘と結婚して、跡を継いでほしいと言われた」
それじゃあ、やっぱりふたりは……。
「小柴部長に恩が返せるのなら、それでもいいと思った。だけど、やっぱりできない。都に出会ってしまったから」
唇を噛みしめる彼は、私から視線をそらさない。