溺愛ドクターは恋情を止められない
「さっきも言った通り、君には将来の野上総合を支えてもらいたい。だから、逃したくない。それは……」
一瞬口をつぐんだ院長は、大きく息を吐きだした。
「小柴部長も同じだよ」
今度は奏多さんが唖然として目を見開いている。
空調の音だけが、しばらく響いていた。
「これは言うなと、言われているんだが……」
院長はためらいながらも、再び口を開いた。
「部長は、やっぱり娘はかわいいし、自分の惚れ込んだ高原君と一緒になってくれたらと思っていたようだ。でも、男と女の仲だけは、思い通りにはいかないものだと」
たしか、部長も離婚を経験していると聞いた。
だからだろうか。
「でも、高原君にその気がないなら、無理矢理結婚させても、うまくいかないかもしれないと」
奏多さんは唇を噛みしめ、俯く。