溺愛ドクターは恋情を止められない
頬にこぼれた涙を慌てて拭うと、つながれたままの手が引っ張られ、いつの間にか先生の胸の中にすっぽりと包まれていた。
「大丈夫だ。俺も今日はひとりでいたくない」
「えっ?」
私は思い出した。
あの時、先生の手が微かに震えていたのを。
先生も私と同じ気持ちだったのだろうか?
きっと何度も患者さんを失うという経験をしているのに違いないのに。
「いいから。今は黙って泣け。ここ、貸してやるから」
もう、止まらない。
止めることなんてできない。
さやかちゃんという小さな命が消えてしまった現実を、上手く受け止められなくて。
そして、母を亡くした経験からか、お母さんの気持ちも、ズドンと胸に突き刺さって。
「先生、私……」
彼の大きな手が、私の頭を優しく撫でる。