溺愛ドクターは恋情を止められない
満月を見上げる彼は、さやかちゃんの安らかな眠りを祈っているのかもしれない。
私もそうだから。
どうか、さやかちゃんが安らかに眠れるように、見守ってください。と、心の中で月に語りかけた。
高原先生の気持ちを聞いて、このままでいいのかもしれないと、胸を撫で下ろす。
人の死に、慣れなくてもいい。
亡くなった人の無念と、ご家族の悲しみを受け止めながら、業務に励めばいい。
「先生の気持ちは、さやかちゃんに届いていると思います」
あの場で諦めなかったのは、高原先生ただひとり。
「そうだといいな」
「はい」
自分の手からスルリと零れ落ちた命は、想像を絶するほど重かったに違いない。
医療の最前線に立つ先生の、責任の大きさを改めて考える。