溺愛ドクターは恋情を止められない
「せめて……。せめて、私の前では強がらないでください」
我ながら、随分大きなことを言ってしまったと思った。
でも、彼が私に手を差し伸べてくれたように、私も……。
「先生だって人間です。悲しい感情も、辛い気持ちもあって当然です。だけど、隠さなければならないときもありますよね」
患者や家族の前で泣くわけにはいかない。
「だから、どこかで吐き出してください。もしも私でよければ、いつでも聞きますから」
彼より弱い私が、こんなことを言ってもなんの慰めにもならないかもしれないと思ったけれど……。
「ありがとう、松浦」
高原先生は、とてもうれしそうに微笑んでくれた。