溺愛ドクターは恋情を止められない
「なのに、救急か」
「はい。最初は嫌でした。でも……今は違います。先生に出会えて、命の重みがわかった気がします。本当は、まだ怖いんですけど」
今度は彼が私の頭をポンと叩く。
この手が、いつも命をつなぎとめている。
「頑張ってるんだな、松浦。俺も……負けない様に頑張らないとな。自分の未熟さに嫌気がさしてばかりいたけれど、それでも進んでいくべきなんだな」
今の高原先生の目には力がある。
壁にぶつかりながらも、彼ならきっと理想の医療を実現するだろう。
「これからも救えない命もあるかもしれない。でも、できる限りの手を尽くしたい」
「――はい」
辛い気持ちを聞いてもらえたばかりでなく、彼の気持ちを前に向かせることができたなら、こんなにうれしいことはない。
「俺も……」
再びカップを持ち、カフェオレを口に運んだ彼は、視線を宙に舞わせて口を開いた。