溺愛ドクターは恋情を止められない
「それまで、母と同じ仕事には就きたくないと思ってました。あんなに身を粉にして働いて……。きっと体調が悪いことにも気がついていたはず。それでも、働き続けた母に、どうして?という思いでいっぱいでした」
あの頃は、命を削ってまで働く母を、どうしても理解できなかった。
「だから全然関係ない大学に進学するつもりだったのに、母を失った時、この世界に入りたいと思いました」
「そう、か」
背中に回った手に力がこもる。
母を責め続けたことへの懺悔を、彼も一緒にしてくれているような気持ちにさえなった。
「ナースになろうとは?」
「私、血が怖くて……母が最期に大量の血を吐いて逝ってしまったから」
手の力を緩め、私の顔を覗き込んだ彼は、私の髪を優しく梳いた。