手紙~大切なひとへ~

始まり

祐チャン…


覚えてる?


祐チャンは、アタシに
『もう、淋しい思いはさせないから、そんな目で空をみるな』
そう言ってくれた…


その時、アタシは、祐チャンとずっと一緒にいたい…と心からおもったんだょ。


『レイを独りには出来ない』

泣きじゃくる元カノを前に、祐チャンは言ってくれた…

アタシの手をキツクキツク握って、深く頭を下げながら…。

左の手首には、真っ白な布が、グルグルに巻かれていた…だから、とっさに怖くなった。その手をひたすら隠そうとする元カノの優しさに、アタシも自然に顔が下を向いた…『ごめんなさい…』

祐チャンは泣いていた だけど、アタシは見ないふりをした。
アタシも泣いちゃいそうだったから…。

元カノさん、ごめんね…祐チャンの事、たくさん好きなんだね…

祐チャンとアタシの記念日…

カレンダーでは夏真っ盛りなハズなのに、その年の夏は、妙に肌寒くてまるで祐チャンとアタシの未来を悟っているみたいだったね。


8月6日…祐チャンとアタシの初めて記念日。
何度も何度も見つめ合った…
形ある言葉なんていらなかったから…

何度も何度も抱きしめあった…
二人のそれぞれの心の隙間を埋め合わせるように…




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