手紙~大切なひとへ~
祐チャン…

それからは、たくさん話を聞いてくれたね…


8才の時、仲良しだったミキチャンに仲間割れにされて、誰にも言えずに独りで泣いた事。アタシは悪くないんだって、ママに言い訳を聞いて欲しかったんだ!

9才の時、拾った子犬にアタシと同じ名前を付けた事。そうすれば、アタシが誰かに呼んでもらえてるような気になれるんじゃないかって、つかの間の幸せ…ケド、犬嫌いなママに嫌われたくないから飼えなかった。

10才の時、毎晩、怖い夢をみて泣いたケド、ママは仕事でいつも居なかった事。布団に潜ったまま明るくなるのをいつも待っていた。


11才の時、生理がきたケド、お赤飯を炊いてもらえなかった事。きっと今でもママは、アタシの初潮の日を知らない。 12才の時、小学校最後の運動会も学習発表会もママは来てくれなかった事。仕事だけが生き甲斐だって言ってたもん。

ママとの思い出なんて一つもない!!

ママはアタシが嫌いなんだょ。

ママはアタシよりも、病院の患者サン達が大事でアタシが熱を出して、学校を休んだ時も、ケガをした時も、薬だけが無造作に置かれているだけだった…

いつの間にか、アタシはママを避けた…

ママが最初に、アタシを避けたから…

いつの間にか、祐チャンに惹かれた…

アタシの話を聞いてくれた、たった一人の人だから…

ただ…それだけの事…

だけど、本当に淋しかったのは、祐チャン、あなたでした。

アタシがそれに気付いた時は、もう手遅れでした。

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