先生…ダメ?

廊下は静まり返っていて、空気が冷え切っている。

「寒いな。」

「ううん。全然。」

「お前、完全防備だもんな。」

「うん。暖かいよ。」

そう言う彼女の息は白くて、冬だなと感じる。

俺は鍵を締め、木村と肩を並べて歩き出した。

トントンと足音だけが響いている。

だが、木村がその沈黙をいきなり打ち破った。

「先生、さむーい!」

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