桜の下で、君を想う。

そこで、日記は終わっていた。

絵美は、このあと俺と会って、事故にあったんだ。

「絵美、俺、俺・・・マジで何も知らなくて・・・。ほんと俺バカだ・・・何も気づけなかった。」

日記はほぼ毎日書かれていて、彼女の俺への気持ちで溢れかえっていた。

病気になっても明るく前向きになろうとしている絵美の文章を見ていたら情けなくなった。

「怖かったよな・・・絵美。ホント、本当にごめん。絵美・・・。絵美・・・。」

不安に負けそうになる彼女が一人で泣いている、泣いているのに俺は気づかないでお気楽に絵美と両思いになりたいだなんて考えてて、俺はホントバカだ。

「絵美・・・。絵美・・・。」

「拓くん?日記読んだの?」

「奈々さん・・・。」

「あの子、最後は本当に綺麗なところ見てほしいってデートの日を待ち通しにしてたのよ。拓くんのことが大好きだったのよね・・・。ごめんね。拓くんに言うべきだったのにね、病気のこと。でも、絵美が一人で頑張るって・・・言ってたのに・・・事故に会うなんて・・・。」

「奈々さん、俺なんも気づかなくて、ホントいつも一緒にいたのに。何もできなかった。絵美を助けてやれなかった。支えにもなれなかった。きっとこの日記を書いてる時も、手の震えは止まらなかったはずなのに。俺は自分のことばっかりでした、告白うまくいくといいなって。正直、電話をもらうまで絵美を恨みそうでした。ずっと前から、出会った頃から好きだったから。俺、最低だ・・・。ホント・・・」

「拓くん、拓くんは最後まで絵美の心の支えだったよ?日記読んでわかったでしょ?あなたと時間を過ごして、想うことで絵美は強くなれたんだよ。拓くんのおかげだよ。」

「絵美・・・。」


もう絵美は帰ってこないんだ。

心の中の何かが崩れたような気がした。

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